学校評価 《令和4年度 学校評価》

Ⅰ 本年度の学年別教育目標

コロナ感染症の流行は収まってはきたが、園の教育体制は昨年度から大きく変えることなく、指導計画もほぼ同様にして保育に取り組んできた。昨年度の自己評価の結果に基づいて、今年の重点目標を定めた。

3歳児クラス

  1. 幼稚園生活を知り、自分のペースで馴染んでいく。 
  2. 家庭との協力の下、基本的信頼感の確立を確かなものとする。 
  3. 保育者や友達と触れ合う中で人との関わり方を学ぶ。
  4. 生活習慣を身につけ、身の回りのことを自分でできるようになる。 
  5. 園内の様々なものに興味関心を持ち、好きな遊びを見つけて園で友達と過ごすことの楽しさを味わう。

重点目標(保育上の配慮)

〇 本年度の入園児には多様な発達状態の子どもがいることを考慮して、園生活に馴染みにくい子ども、生活習慣の遅れのある子どもに丁寧に寄り添うことにより、クラス全体が安定して遊べるようにする。

〇 一人一人が自分の遊びのイメージを大切にして、じっくり遊びこめるようにする。保育者は個人に応答すると共に、友達の遊びにも興味を持って一緒に遊べるように環境設定を広げたり、媒介をする。(昨年度は感染症予防のために使えなかったソフト積み木など遊びの環境が豊かになるよう配慮する。)

4歳児クラス

  1. 同年齢・異年齢児と交流し、自己主張や協力する中で共に遊び楽しさを味わう。
  2. リズム運動など集団活動に すすんで参加する。
  3. 園庭の自然物などの多様な事柄に興味関心をもち、発見を楽しんだり考えたりする
  4. 自分たちで遊びを考え、工夫、発展させる。

重点目標(保育上の配慮)

〇 室内活動が密集しないように、室内活動の空間を広くすることを通して、自由な空間を生かし、自己コントロールして行動する。

〇 5歳児との自由な遊びの中での交流によって遊びのイメージを広げ、他児との関わりに自信を持つ。

〇 園生活の時間進行や場所の活用に柔軟に対応しながら、状況に合わせた行動がとれるようにする。

5歳児クラス

  1. 自分で目標をもって粘り強く取り組む
  2. 友達と意見を出し合って目標やルールを作って活動する
  3. 園外活動などを通して、体力をつけ、自然的社会的環境への関心を高める
  4. 屋上菜園を通して「雑草」も含めて植物の育ちを見守り育て、料理~食べることで食育に繋げる。
  5. 環境設定や課題活動に文字や数を入れて自発的学習を促す。
  6. 外国語ネイティブ教師との触れ合いを通して英語と異文化の理解に繋げ、それとの比較の中で日本語・日本文化の理解を深める。 
  7. 多様な日本文化の一端(能楽、茶道、書道、日本舞踊など)を体験し感性を磨く

重点目標(保育上の配慮)

〇 身体機能の伸長を十分に図るよう、リズム運動の時間を多めにとって基礎体力を強めるとともに、園外保育の回数、時間、内容の量・質を高めて、対外活動への自信を持つ。

〇 子どもの発想による遊びはできるだけ子ども同士に任せながら、物や人への対応の仕方を個別的に助言援助をすることによって、自己肯定感を持ち、他への平等意識をもって対応し、物的環境を創造的に活用する。

Ⅱ 昨年度の自己評価への今年度の対応

昨年度の自己評価においてほぼ実施できている面については、そのまま継続し、「努力を要する」「課題」とされた項目について、改善の図れる点を年度当初に園長及び教員で検討した。環境条件のために改善の難しい点もあったが、実現に向けて実施してきた。

昨年度低かった項目についての改善と評価

1.保育理念、計画性 (3.2-3.4)⇒3.3-3.5

  • 豊かな活動のための遊具・用具・教材の準備
    コロナ対策のため使用できなかったものが活用できた。ごっこ遊びのためにセット遊具の活用
  • 園の教育理念、方針の理解・共有
    今年は人員不足のためそれぞれ保育に専念した。コロナ対策もあり会議時間は縮小している
今後への課題として残っている点
  • 子どもの興味・経験に即した指導計画
  • 発達・生活を見通した活動計画

日々の子どもの活動の充実を大切にして、明文化されたものとしてではなく、それぞれの日誌にその日の状態に即して今後の見通しからの短期的計画は持っている。中期的見通しについては不十分である。保育における計画性についてはどうあるべきか、今後さらに検討していきたい。

2.保育方法、幼児への対応(3.0-3.2)⇒3.4-3.8

  • 環境の効果的活用
  • 多様な経験への環境構成、活動の誘導

園庭環境の資源の積極的活用を行った。四季による芝、樹木(開花,果実)などの自然が提供する生き物(動植物)との関わりを、各自の発達段階、興味関心によって自由に行い、教師や友達との共感を得る、図鑑や絵本などで調べる、などの活動が活発に行えた。

室内活動は、各クラスの仕切りを緩やかにし、広い空間を想定してのダイナミックな場面設定での遊びを広げるようにした。

  • 園全体や集団活動による社会性の育成

園全体での行事活動、一斉的活動は控えめにしながら、個人的に集団の場での行動の仕方、個人の気持ちの全体状況への調整について個々の活動の中で指導してきた。子どもの社会性向上を図ることが重要であると考えられるので、次年度から評価項目の修正検討を行いたい。

3.保育者としての資質(3.0-3.3)⇒3.0-3.4

  • 勤務における公私の区別

昨年はコロナ感染症のため私的時間と公的時間、また、物の使用において混同が起こったが、今年は職務通りに行うことができている。  

  • 保育記録の作成、物の管理

保育記録の作成はインターネット入力により、教職員共有可能な方法に代えたため、記録時間、共有の手間が省け、勤務の質向上に役立っている。

  • 専門知識・技能の向上努力 

この点について園として研修機会の設定等はしていないが、特定の問題解決に必要な資料の収集はお互い行って情報交換に努めてきた。環境改善を待って、研修機会を作りたい。

4.保護者への対応(2.7-3.3)⇒3.0-3.6

  • 園便りなど 子どもの様子の保護者への開示、子どもの個別連絡相談
  • 保育参観、会合による教育課程の共通理解

園だよりは園全体で、クラスは個人別に連絡帳を活用している。必要に応じて個別相談もの施している。昨年は保育参観ができなかったが、今年は平常保育の複数日を用意し、分散して見ていただき、行事活動も一家庭1名として見ていただいた。保護者との連携については、さらに今後の課題としていきたい。

5.自然的社会的環境との関わり(2.7-3.5)⇒2.8-3.5

  • 卒園児とのつながり
  • 公共の場所の保育への活用
  • 小学校教育の理解

コロナ感染症対策のために卒園児との交流、学校見学ほか公共施設の活用は控えている。園外活動は公園等に限っている。幼児期では知識よりもその場での体験が重要であるので、社会状況が改善するのを待って実施したい。

6.研修、研究(2.8-3.5)⇒2.8-3.4

  • 保育の自己課題の意識と反省
  • 外部研修の機会
  • 保育技術向上の研究研修 
  • 最近の子どもの発達上の問題の理解

研修や知識の習得は保育者個人の努力に負うところが大きく、園として共に学ぶ機会が設けられない現状は課題であるが、社会事情に対応した研修をどうするか検討していきたい。

Ⅲ 本年度の課題と今後の計画

1.本年度は、各年齢共に年度末の子どもの成長は極めて大きく、子どもたちは安定して進学進級することができた。今後とも一人一人の個性を大切にして、日々の生活の充実を通して自ら育つ力が養えるような活動を進めたい。

2.保育者も子どももコロナ感染症流行下での生活に慣れ、1年を見通して保育を進めることができた。しかし、新たな保育活動を積極的に取り入れたり、コロナ以前の保育を深めることも難しく、教師の自己評価の著しい改善は行えなかった。学校評価2年目として、教師自身の自分の保育の客観化から、逆に自己評価が厳しくなる面も見受けられたが、実質的には向上に向かっていると認められる。

3.今年は、保護者の保育参観・行事参加による園活動に対する意見・感想をいただいているので、それらも参考にして園教育の反省を行い、家庭と一体的な教育への努力を行って

いきたい。

4.本園の教育目標、方法が適切かどうか、幼稚園教育要領、小学校指導要領その他に照らしながら、また学校関係者の意見も伺い、偏りのない自己評価項目の検討を行い、より良い実践・評価ができるように努力する。

学校関係者評価

1.園の教育目標、学年別教育目標、自己評価項目についての意見

① 教育目標について

園目標は、幼児期に大切な目標が掲げられていると思います。様々な個性ある子ども一人一人を大切にしていること、幼児期にこそ質の高いものに触れるべきことが強調されているのは大賛成です。今の社会では子どもたちも情報機器を通して様々の多量の刺激にさらされています。が、その弊害も言われています。幼少期は機器経由でなくナマの体験を大事に!の当園の方針をしっかり大事に、今後とも園全体が楽しい雰囲気の中で質の高い保育を目指してください。

  • 学年別の目標が具体的に設定されていますが、幼少期は月齢で発達が大きく違うので、それに応じた対応を、正に小規模園の良さ・特性を生かして続けてください。
  • 異年齢児との交流が全学年的になされることで、今どきの少子化で家庭内・ご近所でのきょうだい体験・友だち付き合い経験の不足が補えて社会性の発達に寄与するでしょう。同年齢児との切磋琢磨と同時に、異年齢児との交流が続くことが望まれます。

② 今回の自己評価の点数が前回より少し厳しく出たというのは、それだけ保育の実践について厳しく真正面から向き合った結果かと思われます。実質的に子どもの育ちに大きく寄与した事例(コロナ禍で急な園児減にも教師数温存して対・子ども比で教師が増え、発達にもつれ(・・・)のある子にゆとりをもって個別に係って育ちを促した)など聴きますと、教師のゆとりも大きく関わると察しられます。経営にも係ることで、厳しいですが頑張って続けてください!と申上げるよりありません。

③ 保護者や外部へのアピールについて

保護者への連絡は園だよりや日々の対話などがメインのようですが、園としての教育的メッセージや魅力についての外部への発信~アピールがまだ不足していると思われます。折角良い教育をしているのに、もっと宣伝すべきです。