学校評価 《令和3年度 学校評価》

本園では、園目標に対する教育の成果を真摯に評価反省して、より良い教育を目指しています。今年の自己評価、学校関係者評価結果をご報告します。

1園の教育目標及び重点的に取り組む基本方針

教育基本法及び学校教育法とキリスト教の精神に基づき、子どもの心身の発達に即した教育を目指す。少人数で家庭的な雰囲気の中、一人一人の個性と変化に柔軟に対応する保育を行う。

  • 自尊感情を持ち、自ら考え行動する自律性を育てる。
  • 豊かな自然環境に触れる中で感性を育てる。
  • 基礎体力をつけ、体を使いこなせるようにする。
  • 同年齢児や異年齢児との交流を通して、社会性を育て、学習を促す。
  • 日本文化を含めて多様な「本物」に触れることで感性をさらに磨く。

(各学年別目標は省略します)

2教員自己評価のまとめ

教育の質向上のための評価として、6分野・37項目について、教員が4段階自己評価をして振り返りました。

教育理念、計画性

達成項目:豊かな生活への行事の精選、異年齢の交流、保育の反省・改善、安全清潔な環境構成

努力したい項目:豊かな活動のための遊具・用具・教材の準備、園の教育理念・方針の理解と共有、子どもの興味経験に即した指導計画、発達・生活を見通した活動計画

*今年はコロナ感染症対策のために、園全体活動や行事を分割して行い、日々の活動を豊かにする活動を大切に、子どもの興味関心からの活動を中心に落ち着いて園生活を送るようにした。

保育方法、子どもへの対応

達成項目:幼児の思いの読み取り・個へのかかわり、子どもの家庭環境・成育歴への配慮、幼児の多面的理解・良さの承認、安全管理、年齢に応じた環境・言葉かけ、幼児の自律的行動への環境構成

努力したい項目:環境の効果的活用、園全体や集団活動による社会性育成、多様な経験への環境構成・活動の誘導

(教師は一人一人の個性を大切に子どもの内面を育てるために、個々の要求に丁寧に応じることを心掛けた。子ども達は、自分から気づいて活動を広げていた。現在の環境構成で楽しく活動しているが、さらに教材を増やして知識や経験を増やしていきたい。)

保育者としての資質

達成項目:チーム意識・役割の遂行、保育に関連する文化・自然物への関心  

努力したい項目:勤務における公私の区別、保育記録の作成・物の管理、専門知識・技能の向上努力 

(教師同士は毎日その日の活動や子どもの状態などを話し合い、連携してきた。コロナ感染症対策のための保育に細かい配慮や準備に専念したために、できなかったことも多かった。)

保護者への対応

達成項目:守秘義務の遵守・節度ある対応、保護者との関係における園長・教員相互の合意、クレーム処理対応・報告連絡相談の実行 

努力したい項目:園便り等子どもの様子の保護者への開示、子どもへの個別連絡・相談、保育参観・会合による教育課程の共通理解 

(保護者への個別対応・連携については、毎日の出来事や様子を送迎時に対面で伝え、コミュニケ―ションを図ってきた。今年は会合を減らし、クラス便りで予定などを伝え、参観は希望によって行った。今後オンラインによる方法を検討したい。)

自然的・社会的環境との関わり

努力したい項目卒園児とのつながり、公共の場所の保育への活用、小学校教育の理解 

(この項目については、今年は感染症対策ために不十分であった。小学校との連携ついては、さらに進めていきたい。)

研修、研究

達成項目:保育の自己課題の意識と反省

努力したい項目:外部研修機会、保育技術向上の研究研修、最近の子どもの発達上の問題の理解

(教師は保育について自己課題をもって努力している。今年は子どもの安全管理を第一として、研修会参加を控えてきたが、常に子どもの発達課題は意識して研究、対応してきた。)

3総合的な評価と今後取り組むべき課題

1 保育の中心的課題の評価

教師は、今年の難しい状況下でも柔軟に対応して保育の充実を図ってきた。目標としている<質の高い環境からの学び・遊びからの学習>と共に、生活習慣をきちんと守り、友達との関わりを大切にして、友達を待ってあげたり 一人の思い付きをみんなで取り入れるなど、年齢相応に優しい心が育っている。教員は子どもと一緒に手作りの遊具を作ったり活動の助言をして、子どもの力が発揮できる工夫をしてきた。さらに新しい試みも必要だが、子どもの「毎日楽しい!また明日も頑張ろう!」の保育実践ができていると考える。

2 課題となったこと

「自然、社会との関わり」「研修、研究」は、感染症対策のために園外活動や保護者の交流を制限せざるを得なかった。教師は常に専門性向上への姿勢は持ち続けている。園環境の再設定、屋内・遊具等の消毒、活動計画変更、保護者連絡等について努力した。

4今後に向けての具体的計画

1 園内の自然環境の積極的活用と遊具の整備

本園には実のなる樹木が10本あり、四季折々に触れて遊び収穫し、草花からは豊かな発想が生まれている。さらにいろいろな活動が生まれるよう教師の誘導を具体的にして、見立て遊び、調理体験、継続的観察、実験的な試みなどで探求心を育てる。また、感染症が収まれば、地域の施設見学等の社会的経験を広げていきたい。発想豊かに遊べているので、遊びの場の設定、遊具の種類、子どもと教師による手作り遊具等を工夫整備する。子どもの活動の成果を互いに発表し合ったりして、子どもが目標を持って継続的に活動することで達成感を味わうことも大切にしていきたい。

2 行事における経験の自発的活動への展開

行事はそれぞれ目的があり、子どもが飛躍的に育つ契機となっている。年少児にとって年長児の姿は目標となる。行事の活動に子どもからの発想を生かしていきたい。

3 保護者との連携、保育の開示・オンライン化

保護者対応は、登降園時の口頭連絡、個別のお便り帳、園便りがある。園活動の可視化も進行中で、行事や説明会のオンライン化~開示を今後 積極的に検討したい。

4 保育者の研修

保育者の研修には園内研修と外部研修がある。現在は外部研修が難しい状況であるが、本園の課題の共通認識を図って研修の機会を作り、可能であれば他園見学も取り入れたい。

学校関係者評価報告書

1.園の教育目標、学年別教育目標、自己評価項目についての意見

1ー1 園の教育目標について

〇 幼児期に大切にすべき目標が精選して掲げられています。子どもの能力や気質の違い、家庭生活の違いをしっかり受けとめ、それぞれの育ちを捉えた保育をしています。子どもの自主自律の心を大事に、五感を使って遊び、仲間と触れあい、たくさんのことを楽しく学ぶ機会が尊重されています。それが、幼稚園の落ち着いた雰囲気、子どもと先生との いい関係に繋がっています。

一人一人を大切にしていること、幼児期に質の高いものに触れること が強調されていることには賛成です。今の社会で子どもたちは情報機器を通して多様な刺激にさらされています。園全体が良い雰囲気で質の高い保育を目指してください。

〇 幼稚園教育要領には、保育内容の5領域は総合的に達成されるべきもの、幼児期の終りまでに育ってほしい姿があげられています。社会生活とのかかわり、思考力の芽生え、自分なりの表現などについて考慮することが大切だと考えます。子どもの興味、良質の環境の出会いから生まれる好奇心を発展させながら、知識を増やし、子どもの行動力、発言力を育てることを これからも考えていってください。

1-2 本年度の学年別教育目標について

〇 学年別目標を基本に据えながらそれぞれの子どもの発達の違いをきちんと考慮し、それに応じた指導が常に意識され実践されていると感じています。小規模園の特性を生かし、各学年を行き来できるような教育目標もよいのでは? 異年齢児との交流は全学年で考え大切にして欲しい。担当する子どもの理解や研修成果の共有はぜひ実現して欲しいです。

1-3 自己評価項目について

〇 幼稚園教育への一般的取り組みに対する自己評価項目になっていて、良いと思います。初めての自己評価ということで、自分たちの実践を客観的に見ようとしたことはとても良かった。それによって本園の課題を明らかにすることができ、より充実するための手立てが考えられました。“園の教育目標は暗黙裡に理解していると考え、・・改めて話し合ったり文字化することが不足”だったとの反省は大事なことだと思います。次年度以降は、全体的な評価と共に、その年度の保育目標としたことに焦点をおいた評価項目も作っては如何でしょうか。

2.総合的評価と今後取り組むべき課題。具体的計画についての意見

〇 先生方は客観的に(しかし、初めてで厳しく)自己評価をなさっていて、先生方同士の違いは大きくないようです。コロナ禍で保育への配慮が更に増す中、粘り強く保育の目標に取り組まれています。毎日の保育では子どもたちをよく観察して、子どもへの目がよく届いています。子ども同士も仲良く、先生方の連携もよく、安定した園活動が展開していると思います。

コロナ禍で様々な対応をしながらの保育は大変なことと思います。その中で子どもの育ちに合わせた指導がほぼ例年通りに行えたのは、長年続けてこられた教育目標の実践と先生方の連携がうまく行っているからだと思います。

〇 保育実践に関する自己評価で、活動の誘導、教材準備がやや低い評価になっています。年長児の後半では共同制作をしたり、遊びに使えるものを作る、文字や数を使っての遊びなどができる段階になっていると思います。こうした少し背伸びするような活動に方向づけることもよいのではないかと思いました。

〇 指導計画や記録の作成、研修が課題になっているのは、今年はやむを得ないと思います。保育のベテランになっても研修によって自分の殻を破ること、他の人の実践や考えに耳を傾けることは自分の成長になりますから、研修が可能な状況になりましたら積極的な研修をお願いします。

〇 保護者への連絡は、園だよりが日程の連絡など必要事項になっていますが、各クラスの様子や園として教育的メッセージなど、もっと園の内容を開示して、園の魅力をアピールする内容が含まれてもよいのではないでしょうか。

〇 自己評価については、達成している項目は優先順位が高く、園児対応や保護者対応は十分評価できるものと思われます。今回課題となったことについて、できるだけ具体的に考えてください。

5今後取り組むべき課題についての意見

〇改善の方向性が述べられていて、それは適切だと思います。どのようなことを行うか、何をどう改善するか、実際にできることを書いていただくと分かりやすいと思います。

〇子どもの個人情報保護についての意識が高く配慮されています。子どもの姿を安易にホームページに掲載しない姿勢にも共感します。が、弊害として、地域やこれから入園を考えている親たちに、当園の保育内容の良さを知ってもらうのに消極的なイメージを与えているのでは?と感じます。一般に公開されるHP「お知らせ」欄だけでも もっと園の取組みの発信を頻繁にするなど、出来ることはありそうです。

〇小規模で教育目標がしっかりしている幼稚園だと思われます。今後もその特性を生かしてより良い教育を目指してください。ただ、教師の人数が少ないために、意見の多様性が損なわれる場合があります。外部研修などを積極的にして、さらに良い教育が行われるよう望みます。